Wreck Dive in Chuuk 富士川丸

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Chuuk【チューク】
ミクロネシアのチューク州(チューク・ヤップ・ポンペイ・コスラエ)の州都であり、周囲約200?にもおよぶ世界最大の環礁を持つ。湖のように静かなこの環礁は、WW?では日本海軍の一大拠点となった。この海中博物館に、現在は世界中のレックダイバーが訪れる。

 


富士川丸【ふじかわまる】 種別:海軍航空機運搬船
総トン数6,938トン/全長132.59m
進水1938.4.15/沈没1944.2.17
船舶会社:東洋海運/船種:貨物船

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富士川丸は比較的深度も浅く、船体全体が船首から後部スクリューまで見てわかる良い状態で残っているので、特別な問題がなければチェックダイブには必ず入ります。と言っても他の沈船もそうですが、一つの沈船でも幾通りものダイビングが楽しめるのが、レックダイビングの良い所。そういった意味ではこの富士川丸は滞在中に、2度3度と入ることが多くなる沈船です。

チューク環礁の中にある島々には、統治時代に日本名が付けられ、現在チューク国際空港があるモエン島は春島、統治時代に司令塔が置かれていたデュブロン島は夏島、他にも秋島、冬島、また月曜島、火曜島、水曜島、木、金、土、日、これを四季七曜島と呼んでいました。他にも干支十二支の名前や、松竹梅、東西南北、兄弟姉妹、また日本的な桜、楓、芙蓉、春日、などが付けられました。現在もローカルは日本人との会話ではこのように呼ぶ方もいます。

デュブロン島(夏島)には、当時日本海軍の「南洋庁トラック(当時のチュークの呼名)支庁」の司令部が置かれ、カロリン諸島の中央部に位置する南洋の生命線の役割を担っていました。デュブロン島には常に投錨していた戦艦が多く、あまりにも突然であった奇襲の前では錨を引き上げる余裕すらなく、そのままデュブロン島付近で海中に没していった戦艦が多かったのです。

この富士川丸は、デュブロン島から少しだけ離れた所に鎮座しています。船首部の右舷側アンカーは途中まで伸びているけど、左舷側アンカーは格納されたままのようであることと合わせ、停泊中の撃沈ではなかったのではないかと見られています。

富士川丸には計6つの船倉があり、第1船倉、第2船倉には艦上戦闘機そのもの、プロペラ、翼、エンジン、機銃弾、砲弾が積み込まれたまま残っています。戦艦の中で戦闘機を見るなんて、富士川丸の役割である航空機運搬船だったことを見せつけられる感じです。まっすぐに鎮座していることから頭上も何も塞ぐものがない場所でじっくりとそれらを楽しむことができます。

上記の画像がそうですが、ブリッジ脇の通路も比較的広め。やはりチュークでは入っているダイバーの数が上位を占める沈船なので、船体に付着するサンゴ類も、通過時にはさほど気になりません。これがあまりダイバーが入っていないと、通路も通過できないほど、また入口を塞いでしまうほどサンゴが発達し放題・・・。当然ダイバーの装備には干渉してしまい、良くないことだらけです。

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通路から少しブリッジ内に入ると、このような当時の生活を偲ばせるさまざまなものが残っています。木製の所は全て朽ちて鉄骨が見えていますが、トイレや風呂、炊事場などはそのままです。ブリッジ内と言っても、外側の通路とは違い天井も低め、通路の幅もグンと狭くなります。その通路の両サイドにこれらの各船室がある訳で、私たちダイバーの装備ではその空間をどこにも干渉することなく移動して行くことは、なかなかのテクニックが必要となる訳です。BCDの吸排気でどうにかなる浮力ではなく、肺で行う1?、2?の調整です。
私達のホームになる伊豆にはこのようなレックダイビングを行える場所がなかなかありません。でもレックダイビングでは、このように限られた空間で潜る船内通過をするタイミングが多々出てきます。それまでのトレーニングはどうしてもイメージしたもので行うしかないのですが、どれだけこの船内通過をイメージしてトレーニングできるかが、実践に向けてのポイントになってくると思います。


これは富士川丸のマスト。この十字形マストと、他にも鳥居形のマストが、船首と後部に各一つづつ大きく聳えています。

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富士川丸はスクリュー部が−40mほどで、砂地に鎮座している船体の最深部となります。実はこのこのマスト、沈没当時は先端を水面から出していました。波が高い日に1つ折れ、最後の1つが折れたのはつい10年くらい前でした。今では両方ともその先端は水中に没しています。それにしてもこのシルエット、本当に美しいですね〜。

 

そして船首と船尾に1機づつある15?砲。

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これは崩れることなく、至る所に美しいコーラル類が付着して残っています。

今日の富士川丸でのチェックダイブは、まず船体全体を回り、ブリッジ脇の通路を通過してみました。富士川丸は腔腸類がとてもきれいで、正しい姿勢(?)で沈んでいることもあり、どのルートで回っても明るい印象の持てる沈船でチェックダイブには最適です。でも、潜れば潜るほど味も出て・・・ 。富士川丸の魅力はまだまだあるのでした。

 

PHOTO BY /AKANE HAMADA
            KATSUHIDE MIYAUCHI