土肥を楽しむ その2
土肥ビーチ:湾内 通り崎沈船【第三水天丸】
船体自体はかなり老朽化しているが、当時積まれていたものはほぼ残っている。
土肥の海には全部で10隻の沈船があります。
コース取りにもよりますが、1ダイブで7隻の沈船を回ることもできる、伊豆では他に類を見ないレックダイビングが楽しめます。
この沈船群、なぜここにこんなに固まって海中に没しているのでしょうか?
沈船には、“沈んでしまったもの”と、“沈められたもの”があります。
ダイビングポイントとなっている沈船は、“沈められたもの”であることも多いのですが、ここ土肥の沈船群もそうなんです。
10隻ある沈船群の中で、一番古いものは20年前にここへ沈められました。1隻ではなく、複数の船で行う巻き網漁で使用されていて、母船、灯船、網船、運搬船などと、それぞれの船が役割を持っていました。巻き網漁が盛んだった当時のイサキ、アジ、カツオ、イワシの漁獲高は、一晩で1,300万トンにもなった夢の時代もあったのです。
漁も衰退し行き場のなくなったこの船群を、当時の漁協組合長だったこの船群の網元が、土肥を潜るダイバーへ・・・と提案してくれたことから今に繋がる訳です。
(ミスタヒチ調べ)
そんな視点で歴史的背景を見れば、もともと陸上にあったこの物体がなぜ水中に沈んだのか?なぜここに船倉があるのか?この集魚灯は何のために付いていたのか?など疑問も湧き、そして答えも見えてくるでしょう!
そして今日はさらに、その物体を3D的に解明していきます。
サンケン・オブジェクトSPトレーニングです。
リールは必須ツール。
サンケン・オブジェクト(Sunken Object)とは“沈んだ物”。正しくは“陸上にあったものが何かの理由で水中に沈んだ物”。沈船だけではなく、飛行機、遺跡、漁礁なども含まれ、それらをリールを使って計測していきます。
今回の対象のサンケンは、もちろん通り崎湾内にある第三水天丸です。
準備として必要なのは、サンケンを立体的に炙り出すためにラインのマーキングです。そして最初のダイブではサンケンの調査。おおよその形状を把握しなければ、どこから手をつけていいのかわかりませんからね。計測データーを書き込めるように、よく観察しサンケンのマップを作成します。そして、どこを計測したらいいのか、起点をどことするか、など事前の打ち合わせが次の計測ダイブに大きくかかわってきます。
そして、起点からラインをまっすぐ伸ばし、あらゆる箇所を計測開始。
計測と一言で言っても・・・、これが結構奥が深い。
例えば、ラインの両端をバディで持って計測。
正確な長さを出すには、バディ同士が同じ深度にいなければいけませんからね。計測距離が長くなればなるほど、ラインは撓み、またサンケンが水平な場所になければさらに難しくなってくる訳です。
サンケンのサイズが大きくなれば大きくなるほど、これらの作業が繰り返し行われることで、全形を浮かび上がらせることができます。
距離だけでなく、ある部分の高さ、ある部分の深度などの細かい計測データーが入れば、より一層具体的なマップが完成!
最終的には、ラインワークがしっかりと身に付くことでしょう!
ラインはバディ潜水時にはとっても役に立つツールです。
ラインを水中で引く以上は、その取扱いには責任があります。
(拘束などに結び付かないように・・・)
またテクニカルダイビングでは、リールの取り扱いは必須。
このような便利アイテムは、どんどん使用していきたいですね。
PHOTO BY / TSUTOMU MAMURO
MICHIAKI BABA
土肥を楽しむ法 その3
土肥のボートポイント“沈船”にて。
『想像もつかないような深い場所で、長く潜ってる??』
このダイバーの装備はWタンクです。
1ダイブをタンク2本背負って潜ることができれば、レクリエーションダイビングの潜水計画の場合、残圧にストレスを感じることはありません。
また、テクニカルダイビングでは標準装備になります。
背中にタンク2本背負う装備は、通常使用しているBCDやレギュレーターとは形状が変わり、もちろんその装備のセットアップから、浮力調整やキックの感覚などダイビングスキルも違ったものになってきます。
快適なダイビングとするためには、まずその装備に慣れ、装備を完全使いこなすことが必要不可欠です。
使用していない時間が長ければ長いほど、感覚は忘れてしまい、スキルが錆びついてしまいます。
今日の土肥は、自主的にスキルを維持するためのWタンク装備です。
Wタンクは2本のタンクが連結しているものと
そうでないものがあります。
このダイバーのWタンクは連結していません。
タンクのバルブ部分を見て頂ければわかりますが、
10リットルのタンクを2本背負っています。
この装備をインディペンデントシステムと呼びます。
インディペンデントシステムを組み上げることができれば、連結したWタンクがないポイントでも、このように潜っていくことができるんです!
今日はナイトロックスを使用しているので、時間的制約も、残圧による制約も受けない潜水計画を実行しました。
22〜23m前後に鎮座しているこの沈船群を楽しむためには、そんな潜水計画が最高にぴったりなんです!
PHOTO BY / TSUTOMU MAMURO
MICHIAKI BABA